糸
沢山の写真は毎日の素敵な記録で大切な思い出ですよね。
ただ、写真は一瞬の記録を残す事が出来る素晴らしいメディアですが、
その瞬間という性格からリアルで生々しい記憶になりがちだと思う事があります。
ペットロスに悩む方からのご注文をお受けするときに、
写真を見るだけでも胸が苦しくなって涙が止まらなくなるのです…と云うお話をよく伺います。
写真は瞬間の記録ですのでその時の感情や想いが切り取られているようで、見た瞬間に思い出してしまうのでしょうね。
しかし、イラストに仕上げてお届けすると
「写真とは違い眺めているだけで癒されて心が落ち着き、あんなに苦しい思いが消えました」
と嬉しい感想をいただけます。
苦しみや悲しみから少しでも放たれて楽になる事ができたらどんなに素晴らしい事でしょう!
多くの方のお役に立てる…作家冥利につきる思いです。
本当にありがとうございます!
これは僕の勝手な推測なのですが、一瞬を切り取る記録の「写真」から一生の記憶を描く「絵」に変換した事で、悲しみや自己憐憫の苦しみから解放されるのではないかと思います。
全ての人がそうだとは言い切れないのですが、今までご注文頂いたお客様からの感想を読むたびにそう思います。
ペットと過ごす時間は掛け替えのない素晴らしいもので、飼い主にとっては宝です。
ペットを失った瞬間、ネックレスの糸が切れて真珠の玉がバラバラにばらけてしまうようにどうして良いのかわからず、拾い集めることも再び糸に通すこともままならず途方に暮れてしまう状態がペットロスだと思います。
一度切れてしまった糸。それはつなぐ事ができない命。
ばらけた一粒ごとの真珠はその時々の記録です。
かつては記録として時系列に糸に通されていた珠をブローチの台に寄せて記憶のアクセサリーとして胸に飾ってはいかがでしょうか?
ブローチに合う服を着ておしゃれして笑顔で歩みだして欲しいと思います。
そのアクセサリーデザインのひとつがイラストではないかと僕は想って仕事をさせていただいています。
